――天音かなたの歌唱改善プロセスに学ぶ“成長の設計図”を独自解説
天音かなた。ホロライブの人気VTuberとして知られる彼女は、持ち前のパワフルな歌声と真っ直ぐな人柄で多くのファンを魅了してきました。
しかしその裏では、初期のキャラ迷走、同期の卒業や耳の持病との向き合いなど、決して順風満帆とは言えない軌跡がありました。
本記事では、2025年5月31日の“しくじり先生風”配信で語られたエピソードや歌への取り組みをもとに、彼女の歌唱技術の進化と改善戦略を、音楽的・技術的視点から掘り下げていきます。
「ただのVTuber」ではない。彼女の取り組みは、ボーカルトレーニングや音楽制作に携わるすべての人にとって学びとなる、極めて実践的な内容でした。
🔹 1. 「まず癖をなくして歌った」→ その後「どこに癖を入れるか研究」
技術的解説： 「癖をなくす」とは、装飾（ビブラート・しゃくり・巻き舌など）を排除して、基本の発声・音程・リズムに集中する訓練。 これはボイストレーニングでいう「ストレートトーンの習得」に近く、発声の基礎力・音程精度の向上に直結する。
その上で「どこに癖を戻すか」を研究するのは、歌唱表現の“設計図”を作るプロセス。 例：Aメロはナチュラル、サビ前はしゃくり気味、サビはビブラートを深めるなど、意図的なダイナミクス設計が可能となる。
🔹 2. 人気曲のボーカルだけを抽出して分析
技術的解説： これは「耳コピの深化版」であり、プロのシンガーやエンジニアが行う“模倣と分解”の学習法。
ピッチの取り方、音の始点・終点の処理、ブレスの位置、エフェクトのかかり方などを聞き分けることで、 「何が“上手く聴こえる”原因なのか」を把握できる。
音声抽出ツールでアカペラトラックを聴く訓練は、特に“リズムと母音の流れ”に敏感になる副次効果がある。
🔹 3. 昔の曲（旧世代の歌唱スタイル）の研究
技術的解説： 70〜90年代の歌唱には、現代のDAW編集ありきでは出せない生々しいピッチ感、語り口、音の余白がある。
これを研究することで、**過度なエフェクトに頼らない「地の声の表情」**を学ぶことができる。 旧世代は、**リズムを正確に刻むより“言葉を伝えるリズム”**で歌う傾向が強く、現代ポップスとの対比研究としても有効。
🔹 4. 「ピッチを取るか、感情を取るか」
技術的解説： 歌唱における永遠のテーマで、プロでも両立は難しい。
「正確なピッチ（音程）」は音楽的な美しさを保証するが、感情を込めすぎるとピッチが揺れたり崩れやすい。
かなたがやったように、「一部だけ感情を入れる（＝狙って崩す）」と決めておくことで、安定感を保ちつつ感情も届ける。
これは「ピッチコントロールのデザイン」＝意図的に破綻を入れて魅せる技法で、ジャズやR&Bにも通じる。
🔹 5. 録音時間を大幅に短縮できるようになった
技術的解説： これは、事前の「歌唱設計力（構成・感情ポイントの把握）」と「一発で出せる技術の確立」を意味する。
レコーディングにおいては、ピッチの取り直し・リズムのズレ・ブレスの乱れがあるとテイク数が増えるが、 それを減らせるということは：
- 発声が安定しており、テイクごとの差異が少ない
- セルフディレクション能力（自分で聞き返して判断する力）が高い
つまり、**エンジニアの修正負担が少なく、“プロ品質の素材を即納できる”**という証拠になる。
🔹 6. ミックスの勉強をしていた
技術的解説： ボーカルミックスの知識を持つと、「自分の声がどう処理されるかを予測して歌える」ようになる。
例：
- 高音で鼻にかけすぎるとEQで弾かれる
- コンプ（音圧調整）に潰されないよう抑揚を工夫する
つまり、録音時に既に“後工程の編集を想定した声の出し方”ができるということ。 これができると、全体の制作クオリティとスピードが格段に上がる。
🔸 補足：音の表情が消えるとは？
「音程を意識すると表情が落ちていく」という現象は、「音の表情（声のニュアンス・抑揚）」が薄れることを意味する。
これはピッチを優先することで抑揚やブレスが制御され、歌が情報的になり、感情伝達力が低下するため。
これを防ぐために、かなたんのように「ここだけ表情を入れる」と事前に計画しておく設計型の歌唱戦略が有効となる。
以上のように、天音かなたの取り組みは、技術・心理・芸術の三面から見て、非常に高い意識と実行力に支えられたプロセスであり、 それ自体が歌唱技術の教材として機能しうるレベルの深さを持っています。
ソロライブ・NEWアルバムについての情報も要チェックですね!!!!
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